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研究内容

1. CFTR の形質膜発現および品質管理機構の解明
CFTR (Cystic Fibrosis Transmembrane conductance Regulator) は気道や消化管などの上皮細胞のアピカル形質膜に発現する膜タンパク質で,塩素チャネルとして機能します.CFTR の遺伝子変異は嚢胞性線維症 (Cystic Fibrosis: CF) という欧米で非常に有名な遺伝病 (白色人種で 2500 人に 1 人の頻度) を引き起こします.現在 CF の根本的な治療法はなく,多くの患者 (世界で約 7 万人) が 40 歳までに死に至るため,新規治療法の開発が世界中で強く望まれています.CF 患者で最も多い遺伝子変異 (ΔF508) は CFTR タンパク質のフォールディング (正しい高次構造への折りたたみ) を妨害します.そのため,CFTR 変異体は塩素チャネルとして機能できるにも関わらず,異常タンパク質として細胞内の品質管理機構 (Quality Control: QC) により分解されてしまい,形質膜に発現できません.本研究室では,CFTR の QC のメカニズム,特に,フォールティングと分解シグナルであるユビキチン化機構を明らかにする事で,CF 治療法開発に貢献する事を目指します.

2. 形質膜タンパク質の膜発現および細胞内挙動の高感度定量法の開発
様々な病態に関わる形質膜タンパク質の膜発現,細胞内挙動およびその機能を簡便に測定する高感度定量法の開発を行います.さらに,ハイスループットスクリーニングにより,形質膜タンパク質を特異的に制御する化合物の探索を目指します.

3. ストレスによる形質膜タンパク質の発現制御メカニズムの解明
遺伝性 (変異,多型) や環境性 (感染,熱など) のストレスは,形質膜タンパク質の発現機能に影響を及ぼし,様々な病態を引き起こします.例えば,タバコ煙は CFTR の形質膜発現を負に制御する事で,慢性閉塞性肺疾患 (COPD) を引き起こす可能性が示唆されています.本研究室では,様々なストレスがどのように形質膜タンパク質の発現機能に影響するか,さらにその分子メカニズムを包括的に理解することを目指します.

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